このたび,スマートスーツ研究会の設立にあたり,多くの方々にご支援いただきましたこと,この場をお借りして厚く御礼申し上げます.
私はこれまでに,様々なパワースーツの研究・開発に携わってきました.従来のパワースーツの多くは高出力・高剛性で,大きな補助力を得ることに主眼が置かれていました.このようなパワースーツを身に付けることで,重たいものを楽々と持ち上げることができたり,重量物を背負って移動することが可能になったりと,これまで人ができなかった作業の実現が期待できます.
ところで,労働の中には「人が頑張ればどうにかできる」作業や「1回の動作は楽だけど,長時間,繰り返して行うことで疲労が蓄積する」作業が強いられる労働もあります.たとえば,農作業や介助作業などが挙げられます.このような作業では,さまざまな動作に対応しなければならず,従来型の大掛かりなパワースーツは向きません.
従来型のパワースーツでは,モータなどのアクチュエータが発する力を補助力としており,また直接人にその力がかかっていました.これに対して,スマートスーツでは,ゴムなどの弾性材をパワーソースとして用いており,その伸びをアクチュエータで調整することで補助力を制御しています.つまり,アクティブなサポータとして考えることもできます.サポータですので,人の動作を妨げることもなく,やわらかなパワースーツが実現しました.また,アクチュエータの力は弾性材を介して人にかかるため,無理な力が人に加わることがありません.
スマートスーツの「スマート」とは「高機能」の意味です.いろいろな作業を少しでも楽にすることを目指して,われわれスマートスーツ研究会は活動していきます.
本研究会の趣旨にご賛同いただきましたら、ぜひ本研究会へのご入会を検討いただきたくお願い申し上げます。
平成19年6月
スマートスーツ研究会 会長
北海道大学大学院情報科学研究科 准教授
田中孝之