軽労化®セミナーダイジェスト
セミナーダイジェストは過去のセミナー内容を
まとめ掲載しております。
◆農作業の軽労化®セミナー in 農大 2013年1月8日◆
北海道立農業大学校 教務部 農業経営 研究科
主任講師 増子 優子 氏
(1)「農作業における軽労化ニーズについて」
軽労化農業
l 平成6年度:農林水産省技術会議事務局のプロジェクト研究
総合的開発研究「未来型軽労化農業技術確立のための基盤技術啓発に関する技術研究」の略称
研究の柱:①ロボット化
②生体・気象情報収集による「作物の声を聞く」観察作業支援
③人に優しい農業技術の実現(人間工学的評価手法・快適性向上)
軽労化ニーズの実態
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女性の7割が慢性疲労を感じ、30代以上の6割が、慢性疲労を感じている。
- 「疲労により、農業経営の継続が困難」と26%が回答
軽労化対策の必要性
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全体の7割が「軽労化対策」の必要性を感じている。
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20~30代の必要性が高く、全体の7割が必要と回答。
回答者の声
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足腰が悪くなると、普段の生活すら辛くなる。
農業経営上、日頃から身体をサポート・ケアすることを心がけていくべき。
もっと軽労化を普及してほしい。(21歳男性 畑作)
- 農作業はとにかく疲れる。
軽労化技術に期待している。(39歳男性 畑作)
今後の取り組み
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ニーズの調査結果の発信
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軽労化概念の普及
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軽労化の事例の紹介
北海道大学 大学院情報科学研究科
システム情報科学専攻 准教授 田中 孝之 氏
(2) 軽労化®とは?最新技術スマートスーツ®
高齢者労働と軽労化技術ニーズ
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農業現場での高齢者(経験)の必要性
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高齢者の高い労働意欲
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労働を継続する上での身体面の問題
自動化・増力化と軽労化
軽労化技術とは?
人がおこなう作業において疲労、労力を軽減する技術
労化技術の概念
アシスト技術
- 楽になるだけで良いのか?
軽労化技術の課題 3Sアシストの提唱
- 運動・感覚能力に応じたアシスト Secure 安全なアシスト
- 可塑力・適応力に応じたアシスト Sustainable 身体機能を維持するアシスト
Subliminal 感覚を鈍らせない、さりげないアシスト
スマートスーツのフィールド実験
腰に負担のかかる前屈動作に合わせ、上半身を引き起こす後背部の筋力補助と腹部を引き締め体幹を
安定化させる2つの補助効果が適切に発揮される。
北海道大学 高等教育推進機構
スポーツトレーニングセンター 准教授 瀧澤一騎 氏
(3)軽労化®技術とトレーニング
~体力維持と・
トレーニング科学とは?
→各種体力のtrain(鍛錬)方法を科学的に明らかにする
向上のための軽労化®~
トレーニング効果で得られるものは?
トレーニング→疲労→体力低下
体力が向上するのはむしろ休んでいるとき
→負荷が強すぎたり、休まないと障害へ
「軽労化®」とトレーニング科学
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トレーニングは「やるほど効果が高い」ではない!
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むしろやりすぎは体力低下につながる!
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日々の労働が実は身体にとってやり過ぎかも・・・
軽労化®は「楽して身体を鈍らせる」のではなく
「適した負荷で身体を鍛える」ために!!
独立行政法人北海道立総合研究機構
工業試験場 製品技術部 デザイン・人間情報グループ
研究主幹 博士(工学) 吉成 哲 氏
(4)農作業負担分析と軽労化技術
筋電位と筋運動形式
- 等尺性収縮(筋肉の長さが変化しない)
毛細血管は周囲の筋肉で圧迫され血流とエネルギー代謝が妨げられる。
比較的短時間で筋肉のしびれ、痛みを感じる。
- 等張性収縮(運動を伴い筋長が変化する)激しい運動をすると、一時的に酸素不足になり疲労を感じる。
筋肉活動時には、微小な電気を発生する
酪農作業の疲労度
- スーツ締め付け効果は良く、骨盤ベルトと違って上にずり上がってこない
- 搾乳時感じていた足のしびれがほとんど無く効果は思っていた以上
- 牛舎の餌の上げ下げ等、スーツ無しより楽
- 搾乳牛舎の除糞作業、糞を押す作業があるが、かなり楽
農作業特性調査と筋力補助スーツ着用試験結果
- 農作業には負担度の高い作業姿勢が含まれ、負担軽減対策必要
- 心拍水準(%HRmax)の高い作業においては注意が必要
- スーツ無しで腰の疲労感上昇傾向
- 疲労感上昇に伴い、体力テストスコアも低下傾向